いつもポジティブな森さんが「最近スパーリングですぐハアハアしちゃうんですよ。」「もう48ですよ。いつまで柔術ができるか分からない。」とネガティブなことばかり言います。
森さんと言えば早川総代表のパスガードセミナーでの「リスクを恐れていてはいつまで経っても活路は開けない」という総代表の言葉に感銘を受け、リスクを恐れずガツガツ行くことを信条とする柔術スタイルです。
息をハアハア切らしながら1回1回のスパーリングで全部出し切ることを目指しているのだろうと思っていました。
ですが、そうではなかったことが判明したので色々アドバイスしたくなり、森さんのスパーリングを毎回見て「疲れる原因」について考えてみました。
他の人に当てはまることも多いと思うので、スパーリングを連続でできない人やもっと疲れない方法を探っている人は、以下を読んでみてください。
1.ハブポジションが無い
森さんはトップでハブとなるポジションがなく、常に相手のアタックの脅威にさらされて焦って戦っているように見えます。
同じガツガツ行くタイプでも、例えば平井さんはハーフバタフライがハブとなり、相手の猛攻を受けても、そこで自分のペースを取り戻しています。ハブポジションがあることで気持ちにも体にも余裕が生まれます。
2.ハーフガードパスなど運動量の少ないパスガードを使っていない
相手のデラヒーバガードやスパイダーガードに対して、常にブルファイター、クロスニーなどで攻め立て、クロスガードやエルボーエスケープされると、スクワットポジションのコンバットベースに自ら戻っています。
例えばエルボーエスケープに合わせて足を一本絡ませてハーフガードにするとか、クロスガードで腰が浮いてきたらスタッキングパスに行くなどしたいです。
マスターカリキュラムになりますが、レッスン10サイドコントロールのエルボーエスケープのクリア、を参考にしてみてください。
自分の体重を自分で支えて、機動力を使いまくるのは疲れの原因です。ショルダードライブパスなど相手に自分の体重を浴びせるタイプの省エネパスガードを絡めて攻めたいです。
3.常にワンアタックで攻め切ろうとしている
こちらはガードの場合に多く見受けられました。例えばトライアングルチョークをかけたらそこで必ず極めてやるという感じになっており、相手がトライアングルを防ぎスタッキングパスでカウンターを狙ってくる寸前まで、極めにしか意識が行っていないように見えました。
早めにディフェンスに意識を切り替えれば楽に戻せるところを、深追いすると戻すのにものすごくエネルギーを使わなければならなくなります。
他にもデラヒーバガードでディープフックを入れた時や、トライポッドスイープで相手を倒した時も、そこで必ずバックを取らねばとかスイープして上下を入れ替えねばという意識が強すぎるようです。
自分の形になったらあとは相手のミス待ちくらいの気持ちで相手をよく見てそれに応じた方が、自分からシャカリキになって攻め立てるより、結果的にはテクニックが成功します。
また、ワンアタックで攻め切るのは相当の実力差が無いと難しいと思っておいてください。力は7割程度で途切れることなくテクニックを繋げて、極めてやろうポイントを取ってやろうと思うよりは、相手にプレッシャーをかけ続けること相手を崩し続けるを考えていると良いです。
最初のアタックは、次のアタックの準備、2番目のアタックは3番目のアタックの準備、くらいの気持ちで次から次へと自分の良い形を作ることを心がけていることです。
常に試合を想定して戦うことは大事ですが、ワンチャンスをワンアタックで攻め切るのは試合でも難しく、残り時間が僅かで負けている時を想定した練習以外では、コンビネーションアタックをより心がけて練習した方が疲れないだけでなくテクニックも上達します。
走ることに例えれば短距離走ではなく長距離走、テニスで言えば全力でスマッシュするのではなくコントロールを重視して厳しいコースを突いてラリーを続けること、などをイメージすると分かり易いかも知れません。
中山